学校紹介で今回取り上げる学校は、塾長北山の母校でもある
桐朋中学校・高等学校
です。
桐朋は 『文教都市』でもある国立市に所在地をおき、国立駅と谷保駅をつなぐ大学通りのちょうど真ん中に位置しています。
桐朋は自由な校風で知られ、かつてはその華々しい進学実績もあって、多摩地域随一の私立男子校として名を馳せていました。
近年は進学実績の低迷や公立人気、共学人気もあって以前ほどの勢いはありませんが、新校舎が完成し2日目入試を導入するなどの改革もあったので、今後の動向が注目されます。
学校紹介では、学校見学や説明会だけでは見えてこない内側をお伝えしていきます。
桐朋中学校・高等学校紹介の【第1回】は
「自由な校風で育つ個性と責任」と題しまして、
桐朋の雰囲気はどのようなもので、そこでどのような生徒が育つのか
ということをお伝えしていきます。
責任を伴う自由
冒頭でもお伝えしました通り、桐朋の校風を一言で表すならば「自由」です。
自由と聞くと、勝手気ままにというようなイメージがあるかと思いますが、桐朋の謳っている自由とはそれとは違います。
入学式では、校長先生が壇上で概ね次のように述べられていました。
(私が入学した年に、たまたまこういう話をされただけかもしれませんが)
「自由とは、好き勝手にやっていい、ということではない。
桐朋が考える自由というのは、常に責任が伴う。」
要するに勝手気ままという意味の自由ではなく、
自主性・主体性を最大限尊重するという意味での自由だと捉えることができます。
また、桐朋は教育目標として
- 自主―自主的な学習
- 敬愛―他者への敬愛
- 勤労―勤労の愛好
を掲げていますが、換言すれば、
- やりたいことをやりなさい
- 他者への配慮、敬意を忘れてはいけません
- 一生懸命取り組みなさい
ということで、まさにこれらを集約した言葉が桐朋の考える「自由」といえます。
桐朋生は、こうした自由の校風の中、互いに尊重しながら個性を伸ばしていきます。
学校行事に現れる自由
桐朋の自由がどのようなものか簡単に説明しましたが、それが顕著な形で現れるのが学校行事です。
その中でも特に自由の精神が色濃く反映されているものをいくつか紹介したいと思います。
クラスの日
中1、中2の10月にある行事で、簡単に言ってしまえばクラス旅行です。
行き先がすでに決まっていて一部班別行動がある、というような自由度の低い旅行ではなく、集合場所、行き先、宿、食事、解散場所まですべてを自分たちで決めます。
制限はたった2つで、1泊2日であること、一人当たりの予算上限が1万6000円であること、だけです。
クラスの日委員を中心にこれらのことを決めていきますが、めいめいが自由に行きたい所の情報を集め、それをクラスメイトの前でプレゼンをし、行き先が決まったら細部を詰めていく、というような形で全行程が決まります。
担任の先生ももちろん口出しはしますが、あくまで一意見として扱われます。
普通の学校や塾ではなかなか学べないものを学べる良い機会になるのではないでしょうか。
余談ですが、高2に実施される修学旅行もその大半が班別・クラス別行動で、行き先を自分たちで決めることになります。
(高校生にもなると行き先をある程度自分たちで決める学校も多いのではないでしょうか)
桐朋祭
毎年5月末もしくは6月頭に開催される桐朋の文化祭です。
桐朋祭は毎年高2が中心となって動きますが、全員参加ではなく桐朋祭を作り上げたいという意思を持った人達が自主的に作り上げていきます。
(クラスの出し物などは、基本的にはありません)
本気でやりたい人たちだけで作り上げられた文化祭なので、その熱量はすさまじいです。文章でそれを伝えるのは非常に難しいので、是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
ただし、桐朋の行事全般に言えることですが、自分たちが楽しむことに主眼が置かれているため、
「おもてなし」の精神はほとんど見られません。
桐朋祭をはじめとする桐朋の学校行事に来られた外部の方は、何が起こっているのか分からないという感想をしばしば抱くようです(笑)
大人対大人―生徒と教員との関係
桐朋の自由が現れるもう一つのものとして、生徒と教員との関係があります。
自由の校風のもと、生徒は責任を伴った自由を謳歌するわけですが、その中で主体性と責任感を育むために教員は生徒を一人の大人として扱います。
分かりやすく言えば、いちいち小言を言ってきません。
(中にはそうでもない先生もいらっしゃいましたが)
中学生の間はさすがにある程度の面倒は見てくれますが、高校生ともなるとそれこそ対等に近い関係性になり、面倒をみてもらうというより、一人の大人として接していくことになります。
そのおかげもあってか、(浪人率は都内屈指ではあるものの、)一教員の思考の枠組みに捉われず、個性的で突き抜けた人材が多くいたように思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
【第1回】では、桐朋の校風とその中でどんな風に成長するのかに主眼を置いて桐朋の紹介をしました。
桐朋では自由な校風の下、それぞれがやりたいことに思う存分取り組む中で、個性と責任感を伸ばしてく様子が何となく伝わったのではないでしょうか。
もし、桐朋中学校・高等学校のことが気になりましたら実際に足を運んでみるのがいいと思います。
また、ご不明やご質問等がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。
桐朋中学を受験予定の小6男子の父親@川崎市です。
桐朋OBならではの学校情報、大変参考になりました。
最近、桐朋の進学実績が芳しくないようで、その点が親としても気になっているのですが、
その理由は、どのように推察されますか?
・受験勉強や進路指導も自由放任だから?
・高校入学生に配慮して、学習進度が遅いから?
・授業が入試に対応できていないから?
・その他?
読んで頂きありがとうございます。
進学実績が芳しくない理由ですが、
「主体的に動ける子供が減ってしまったこと」
「受験勉強や進路指導も自由放任であること」
この2点が合わさった結果だと考えています。
昨今の中学受験事情を鑑みますと、
塾や両親が子供の面倒を見すぎる嫌いがあります。
その結果、勉強そのものは出来るようになっても、
自分で課題を見つけて、それを解決するということが苦手になってきています。
そうした中で、ある意味生徒を信頼し、
受験勉強までをも生徒の主体性に任せていることが、
進学実績の落ち込みにつながっているのだと思います。
(ただ、受験がゴールではない以上、桐朋には今のスタイルを貫いて欲しいというのが個人的な想いではあります)
桐朋より学習進度が遅い公立学校はいくらでもありますし、
桐朋の授業自体は概ね質が高いといえますので、
この2点については大きな理由としては当たらないと考えています。
近日中に、
桐朋の主体的な学びについて取り上げた第2回
進学実績や卒業後について取り上げた第3回
も書きたいと考えていますので、また読んで頂けますと幸いです。
はじめまして。
子どもが学園小に在学中です。
先日、桐朋祭に家族で行ってきましたが、息子も私も、とても楽しめました。
ロケット打ち上げ、プラネタリウムの地学部、PVを作成した上で実験を見せてくれた化学部、それぞれクスッと笑えるユーモアも備えていました。
生物部の展示を子どもは夢中になって1時間じっくり見てました。質問したらすごく丁寧に教えてくれるし。
息子もこんなふうに育ってくれたらいいな、と思って帰ってきました。
中高の教育内容は、私も気になるところで情報収集中なのですが、現在の中1中2は昔と比べて手厚いという話をよく耳にします。
中3以上の学年については不明です。
それと、今月の説明会、参加希望者が多すぎて、説明会の回数が増えました。何が起こったんでしょうか。
第二回の記事も楽しみにしてますので、よろしくお願いします。
読んで頂きありがとうございます。
あくまで私が在学中の話にはなってしまいますが、学年があがるにつれて、
教員ー生徒関係が大人ー大人関係に近づいていきます。
したがって、面倒をみてもらうというより、対等に近い形で接しているという感覚が非常に強かったです。
現在は、以前より面倒見がよくなっている可能性はありますが、
根本の部分は変わらないはずなので、ゆくゆくは自立した人間になるということが桐朋では求められると思います。
人気の低下は進学実績だけでなく、2008年の事故が大きいのではないでしょうか。
公立校なら記者会見を開いたり調査委員会が立ち上がりますが、当時はプレスに対してノーコメントだけでなく、生徒にも保護者にも満足な説明はありませんでした。
当事者が中1ということもあり、保護者の間では自由を見守るのではなくたんなる放任ゆえに看過してしまったのではなかったのかという教員への不信感が渦巻いていました。OBだからこそ書いてくださるかと思いましたが、残念です。