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模擬試験の活用法

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11月も後半に差し掛かり、受験生の中にはほとんど毎週のように模擬試験を受けているという方もいるのではないでしょうか。

受験学年でない方も、定期的に模擬試験を受けている人は多いと思いますが、何のために模擬試験(大手塾の月例テストを含む)を受けるのか、改めて確認したいと思います。

(記事の内容は、受験生に限らず受験学年以外の学生およびその保護者様向けのものになります)

 

模擬試験を受ける目的

模擬試験を受ける目的は大きく分けて2つになります。

  1. 自分自身の相対的立ち位置(=順位、偏差値)を知ること(他者との比較
  2. 今現在、何ができて、何が出来ないかを知ること(自己分析

 

1番目の方は、「自分はどういう学校を受験すればよいか」ということを決めるための指標になります。

2番目の方は、「自分はこれからどういう形で学習すればよいか」という学習戦略を練るための指標になります。

 

私のこれまでの指導経験の中では、1番目の指標ばかりを気にして、2番目の指標に対する分析が甘いというケースが非常に多いと感じています。

しかしながら、1番目の指標を重視しなくてはいけないのは、本当に受験校を決める直前期だけでよく、そこに至るまでの長い道のりにおいては、圧倒的に2番目の指標が重要になります。

 

では、どのように活用すべきか見ていきましょう。

 

 

受験校決めに活用(ただし、参考程度にしかならない)

模擬試験を受けると、大半の場合

  • 全体順位および志望別順位
  • 偏差値
  • 志望校の合格可能性および判定

などが数値として出てきます。

 

このうち、順位や偏差値は母集団(=どのような人たちが模擬試験を受けたか)が異なれば、大きく変動してくるものになります。

つまり、「偏差値60」や「全体100位」のような捉え方をするのではなく、

「○○模試で偏差値60」「××模試でで全体100位」といった捉え方をする必要があります。

 

一方、合格可能性や判定については、それぞれ模試の主催者が過去の統計データをもとに算出している数値になります。

母集団を考慮に入れた上での数値になるので、出てきた数値をある程度そのまま捉えても差し支えないでしょう。

 

従って、偏差値や順位については参考程度に捉えればよく、志望校を決める上で参考にする数値は合格可能性ということになります。

志望校の合格可能性が高い場合はその調子で努力を続ければいいということになりますし、低い場合には受験する学校を変えることも検討する必要がある、ということです。

 

ただし、志望校の問題傾向や問題との相性は、模試のそれらと大きく異なる場合があります。

判定が良くても落ちることは多々ありますし、また逆も然りです。

 

模擬試験はたしかに志望校・受験校を決める上で参考になりますが、良くても悪くてもその結果を鵜呑みにしないことが大切です。

受験校については過去問や日々の学習含め、総合的に判断していくのが良いでしょう。

 

個人的な願いではありますが、第一志望校については、原則としては模試の結果に左右されず、強い気持ちを持って最後まで貫き通して欲しいものです。

 

 

日々の学習に活用

より重要になってくるのが、模試を受けた後、それを日々の学習に活かすことです。

 

模試の結果が出てきたとき、多くの人が、

「偏差値が良かった」

「算数が悪かった」

「英語が出来た」

といった曖昧で漠然とした分析をしてお終いにしている場合がほとんどです。

 

そのレベルの分析では模試を受けた意味がほとんどありません。

 

まずは、それぞれの問題を次の4つのカテゴリーに分類する必要があります。

☆理解しており、かつ正解

◯理解しており、何らかの要因で不正解

△理解していないが、何らかの要因で正解

×理解していないし、かつ不正解

 

まず、☆の問題は復習する必要がありません。

 

◯の問題は、ミスの原因を洗い出すことが必要です。

  • 計算ミス
  • 問題の読み間違い
  • 答え方の間違い

などが多くの原因として挙げられると思いますが、この分析をすることで自分の悪い癖を知ることができます

 

△の問題は、さらに細かく分析する必要があります。

もう少しで理解できそうなのか、あるいは本当は全然分かっていなかったのか。

前者はここでしっかり復習し、理解できる問題を増やしてしまいましょう。

後者については改めて×の記号を振り直しましょう。

 

×の問題は、すぐに復習する必要はありません。

やるべきことは、×が集中している分野を洗い出すことです。

この作業をした結果、自分の苦手分野が見えてきます

決して「算数が苦手」、「英語が苦手」という分析ではなく、

「(比を使った)平面図形が苦手」、「関係詞が苦手」といったレベルまで落とし込みましょう。

そうすることで、今後優先的に勉強すべき分野が明確になります。

再度基本から確認したうえで、それから×の問題は復習するようにしましょう。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

実は私も受験勉強を始めた当初は遮二無二やるだけでした。

(それこそ模試を受けても、復習せずに受けっぱなし)

もちろんある程度の成績向上は見られましたが、頭打ちになってしまったと同時に非効率であったと反省しております。

 

模擬試験は全幅の信頼を寄せるようなものではないですが、自分を知る上ではこの上ない材料です。

賢く使って日々の受験勉強に役立てて頂けましたら幸いです。

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