さきほどの記事では、どの分野にも共通する直前でもできて、効果の高い記述の書き方について解説しました。
この記事では、武蔵で頻出となる算数の各分野について、分野別に対策法を解説していきます。
まず、武蔵の算数で頻出となるのが、
・平面図形
・数の性質
・速さ
・手を動かして調べる融合問題(規則性、整数、場合の数などの考え方を用いる場合が多い)
この他、割合の問題なども散見されますが、上記4つはほぼ必出といってもいいでしょう。
そこで今回はこの4つの分野について、出題傾向と直前対策について書いていこうと思います。
1、平面図形
相似や面積比など、比較的平易な内容の出題が多くなっております。
1⃣の小問として出題され、記述を求められない年もありますが、2⃣や3⃣などの大問として出題されるケースが多くなっています。
特別な知識を使ったり、突飛な発想が必要な出題であることは少ないため、
過去問と標準的な問題集をやりこむことで充分対策が可能です。
一方、図形の問題で記述を書くことを苦手とされるお子さんが非常に多くなっています。
前の記事で書いた通り、高得点をもらったり、部分点をもらう場合に記述はとても重要です。
最低限、計算式と自分がどこの面積や比を求めたのか、ということを記述することを意識しましょう。
2、数の性質
最近は素数や約数・倍数の問題など、独立した問題として問われることも多くなっていますが、
以前は、整数の性質や倍数・約数、また数の大小関係から解答を絞り込むのに使用されることが多くなっていました。
前者の独立した小問として問われる場合は、難易度は高くないことが多いです。
問題集の典型的な問題をしっかりと理解・演習しておけば問題なく対処できると思います。
一方、後者のような形での出題は、何か問題集にまとまって載っていることは少ないと思います。
基本的には過去問を解いて、様々なパターンに触れることが重要です。
最新10年分に限らず、古い過去問にも多く出題されているため、古い過去問も手に入る場合はやっておいて損はないと思います。
数の性質では、あてずっぼうに当てはめれば正答にたどり着いてしまう問題もありますが、
見られているのはあくまで、その回答を出すまでの過程です。
その視点で答案を書く練習をすることも重要です。
3、速さ
早さも標準的な問題が多いですが、条件設定が複雑であったり、また小問誘導がないために、難易度が高く感じられる問題も多く出題されます。
問題文が長かったり、条件設定が複雑な場合には、まずは線分図やダイヤグラムなどの図に落とし込むことが重要です。
適切にグラフを書くために、問題集に乗っている応用的な問題をたくさん解き、複雑な問題に慣れておくことが必要でしょう。
速さの問題は、特殊な発想を必要とすることはほとんどなく、情報をグラフなどで整理したうえで、
論理的に処理をしていくことが重要です。
問題集や過去問を利用して様々問題に慣れておくようにしましょう。
分数で処理をする問題も多いので、問題演習の際には計算ミスにも注意しながら解いてみることをお勧めします。
4、手を動かして考える問題
武蔵の算数で最も特徴的な問題です。
見たことのない設定の問題を解くことが求められます。
この問題は普通の問題集などにはあまり掲載されていないため、
武蔵の過去問を使って演習することが必要になります。
この問題で求められる力としては
①問題設定を理解する力
②理解をもとに手を動かして実験し、法則性を見出す力
③題意にあった解答を絞り込む力
であると考えています。
多くの場合、(1)や(2)の小問誘導で①、②の力が試されます。
最後の設問で、小問誘導で得た知見をもとに、さらに考察、試行することが求められます。
この問題は、4問の中で最も難易度の高い問題であることが多く、時間内に解き切るのが難しい場合も多いです。
しかし、小問誘導は平易な問題であることが多いので、確実に得点することが望まれ、
また、最終設問も多くの場合部分点は狙いやすい問題であることが多いです。
時間内に解き切れなかったとしても、自分が試行してわかったことや、
こういう方針で書き出していけば解答が求まるかもしれない、といったことなど、
しっかりと答案に書き表す練習をしておきましょう。
5、練習問題
このように言われても、ピンとくる人は少ないかもしれません。
そこで、武蔵の問題形式に合わせた練習問題とその解答・解説を用意いたしました。
この問題を演習してから、模範解答を見ることで、記述に必要な最低限の要素を学習できるように配慮したつもりです。
ぜひ直前の点数アップにご活用ください。
また、解答例は「模範解答」ではなく、受験生が作成可能なレベルの「解答例」として作成したつもりです。
(多く問題は古い過去顧問を改題して出題しております。20年分ほど演習された方には既知の問題もあるかもしれませんが、ご了承ください。)
6、練習問題の出題意図と抑えるべきポイント
1⃣数の性質
【偶数+奇数=奇数、偶数+偶数=偶数、奇数+奇数=偶数】
【奇数×奇数=奇数、奇数×偶数=偶数、偶数×偶数=偶数】
という整数の基本的な性質を理解しているかどうかの確認のために出題しました。
上記の性質がピンとこない場合は、数の性質を復習していきましょう。
約数・倍数、素数、偶数・奇数、~の倍数の性質など。
2⃣図形
相似を使うことで解ける基本問題ですが、
分数が絡んでくるため、意外と完答できる子が少ない問題です。
☑分数が出てきてもあせらずに計算ミスに注意しながら計算すること
☑万が一計算ミスをしてしまっても、途中式を明記して部分点をもらえるようにしておくこと
この2点を伝えるために出題しました。
まず解き方が分からなかった方は、平面図形の基本問題を確認しましょう。
解き方が分かった人は、他人に伝わる式・記述になっているか確認しましょう。
最低限、自分の式がどこを求めているのか示しているか確認してください。
3⃣速さ
比較的文章が長く、情報処理が難しい問題であったと思います。
グラフを使って、情報をしっかりと把握できているかを確認するために出題しました。
まずはダイアグラムを書いて情報を整理、そこからわかることを一つずつ求めていきましょう。
正答に行き着くには少しコツがいりますが、ダイヤグラムや自転車の速さを出すところなので、部分点は稼ぎたい問題です。
4⃣手を動かして考える問題
手を動かして、我慢強く数え切れるかを確認するために出題しました。
この問題は最低限の工夫をしつつ、樹形図などで書き出していくしかありません。
(解答例は愚直に樹形図で書き出しています。場合によってはもう少し工夫して書く量を減らすことも可能です)
50分という短い時間の中では、正確にすべてを書き出すのは難しいかもしれません。
そのため、
☑どのような方針で書き出すのか
☑途中までであっても書き出している過程
をしっかりと答案用紙に残すことが重要です。
全体を通じて
武蔵に合格するためには、1⃣と2⃣は完答したいところです。
そのうえで、3⃣と4⃣で部分点を集めることで合格ラインに届くでしょう。
3⃣、4⃣どちらか完答できれば合格がぐっと近くなる、そんなレベルの出題であったかと思います。
記述のポイントや、復習のポイントを書いておいたので、ぜひご活用ください。