学校紹介で今回取り上げる学校は、当塾講師の母校である
武蔵高等学校・中学校
です。
武蔵OBならでは視点で紹介しようと思います。
武蔵が掲げる『自調自考』の精神
中学校、高校は『勉強』する場所です。
では、『勉強』とはどういうことでしょうか?
教師が黒板に書いた文字をノートに板書することでしょうか?
教科書にかいてある公式を丸ごと覚えることでしょうか?
私が武蔵に入って最初に習ったことは、
『教員を疑え、教科書を疑え』
ということでした。
疑うというのは『うそをついているのでは?』と懐疑することではありません。
教わったことに『なぜ?』という疑問を持て
ということであると私は解釈しています。
疑問を持ったらそのことについて、調べ、考え、解決しようとします。
このような主体的な営みを含めて『勉強』ということなのです。
武蔵では単に知識を教わるのではなく、
その知識を基にして『自ら調べ、自ら学ぶ』という
主体的な姿勢を身に着けることが求められます。
▼『自調自考』の精神が現れる様々な学校行事
自調自考というのは言い換えるならば、生徒の主体性。
そして生徒の主体性を育むために、
教師ではなく生徒が主体となってイベントや部活動が運営されます。
この精神が武蔵を『自由』な学校だと言わしめているゆえんです。
・記念祭(文化祭)
1年に1度開かれる記念祭は、
その運営のほぼすべてが生徒によって行われます。
クラスでの出し物、などは存在せず、
運営も、出し物もすべて生徒が考えて実行します。
準備に1日半、記念祭本番が3日、片付が1日
(筆者が在籍していたころのことなので、最近は開催が2日になるなど変更があります)
とかなり大規模な開催となり、
運営スタッフとして記念祭を支える人もいれば、
自分たちで団体を立ち上げて、ライブや出し物をやる人
準備と片付の委員になって当日は遊び倒したり、部活動にいそしむ人
などイベントの楽しみ方、関わり方が本当に自由なのが特徴です。
1年間で最も熱が入るイベントのため、
武蔵を志望される場合は1度足をお運びになることをお勧めいたします。
・部活動
それぞれの部活によっても差はあると思いますが、
私が所属していた軟式テニス部では、
「予算の作成、折衝」、「部活動に必要な物品の購入」、「試合の申し込み」、「合宿の手配」など、顧問の先生方によるサポートのもと、多くは生徒に任されていました。
また顧問の先生方は、基本的に部活動の活動内容に口を出すようなことは少なく、
練習内容から活動頻度まで、すべて自由に決めることができました。
活動の方針をめぐって生徒同士で対立することもありましたが、
様々な人が集まる部活動を自分たちで運営できたというのは非常にいい経験となりました。
・特別授業
1学期の期末試験が終わると、1週間だったと思いますが、
特別授業と呼ばれる期間があります。
特別授業中は時間割が全く白紙になり、
クラスで話し合い、自分たちで時間割を作成します。
どんな授業を受けてみたいかを考え、
どの先生ならその授業が実現可能かを考え、
実際に頼みに行って自分たちで時間割を完成させていくのです。
生物科の先生に頼んで『昆虫食』という題目で実際に昆虫を調理して食べる授業をして頂いたり、
体育科の先生に頼んであまり体験することがない『水球』の体験をさせて頂いたり、
国語科の先生に頼んで『仏教』にまつわるいかにも男子高校生が好きそうなお話をして頂いたり、
などなど、私自身様々なユニークな授業を受講しました。
普段の授業ではできない経験をたくさんさせてもらうことができたと思っています。
日頃の授業、受験指導について
▼ユニークな先生、従業
まず武蔵にはかなりユニークな先生が多いです。
本来であれば博士課程を修了して研究職についていてもおかしくないような、
相当な専門知識を持っている方も多くいらっしゃるのです。
そのような先生方は、特に中学生のうちは学習要領にとらわれず、
専門的な分野に関する授業をしてくださいます。
例えば、
ひたすら野草の葉脈を観察し、研究する授業、
岩石を顕微鏡で観察するために、ひたすら岩石を削り続ける授業、
一切通史に触れず、相撲の歴史について学び続ける授業、
などなど、枚挙にいとまがありません。
大人になっても、こんな授業があったよね、と同窓会で話題になるほど、
印象的な授業が多かったです。
▼テストだけではない!成績評価はレポートで
武蔵の授業の特徴の1つとしてレポートがあげられるでしょう。
レポートというと大学生のイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
武蔵では中学生のころからレポート課題が課され、
多い時には年間で20本以上ものレポートを作成していました。
レポートを書くには課題について自分で調べ、考察をする必要があります。
ただテストの問題が解けることだけが目的ではない、
まさしく『自調自考』の精神を反映しているということができるでしょう。
中学生時代からレポートの書き方をきっちり指導されるため、
大学に入ってからの小レポートは苦労した覚えがありません。
▼受験勉強も『自調自考』!?
高校生になると、受験を意識した授業も増えてきます。
(最後までそうでない授業もあります)
しかし、では学校の授業にだけついていけば東大に合格するかというと全くそうではありません。
授業では受験に必要な内容を扱いますが、
それを定着させ、発展させるのは自分でやるべし、というスタンスです。
そのため、多くの生徒は高校2年生後半あたりから予備校に通っていました。
ですが、受験のサポートを全くないという訳ではもちろんありません。
私自身、過去問を解いた際など、国語の記述や、英作文、世界史の論述などは先生に添削をしていただいていました。
特に苦手だった国語に関しては、毎週放課後に個別で添削指導をしていただき、非常にありがたかったです。
このように、受験対策においても基本的には個人に任されており、
予備校を活用するもよし、学校の先生を活用するもよし、という状況でした。
良い意味で、学校に任せておけば安心、という安心感はありませんでした。
まとめ
いかがだったでしょうか。
武蔵の最大の特徴といえる『自調自考』。
そして『自調自考』できる子供を育てるために、生徒主体で行われる『記念祭』、『部活動』『特別授業』について説明しました。
また、武蔵で行われるユニークな授業やレポート学習、さらには受験対策について書いてみました。
武蔵の受験を検討される場合には、ご参考にしていただければ幸甚です。