学校情報

都立三鷹中等教育学校の入試傾向

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都立三鷹中等教育学校は、多摩地域で人気の都立中高一貫校です。今回は、都立三鷹の入試の特徴について解説します。

 

【基本情報】

試験日:2/3

試験内容:適性検査Ⅰ(国語)

適性検査Ⅱ(算数・社会・理科の総合問題)

報告書(小学校の成績)200点、適性検査Ⅰ300点、適性検査Ⅱ500点の1000点満点で合否判定をする。

 

都立三鷹では、適性検査という試験で受験生を選抜します。適性検査では、私立中のように細かい知識を問われたり、難しい計算を求められたりすることは少ないです。しかし、長い文章や複雑な資料を読み解いて必要な情報を整理したり、それらをもとに自分の意見を分かりやすく伝えたりすることが求められ、難しい試験となっています。

また、都立三鷹は、例年倍率が5倍以上になるなど、公立中高一貫校の中でも競争が非常に厳しいです。都立三鷹に確実に合格するためには、早いうちから活字を読み解く訓練や、自分で文章を書く訓練をしておく必要があります。

 

【都立三鷹の入試問題の特徴】

適性検査は、公立中高一貫校で共通して用いられる「共通問題」と、各校が独自に作成する「独自問題」に分かれています。都立三鷹は、適性検査Ⅰと適性検査Ⅱの大問1(算数分野)で独自問題を採用し、適性検査Ⅱの大問2(社会分野)と大問3(理科分野)で共通問題を採用しています。

では、都立三鷹は受検生にどのような能力を求めているのでしょうか。都立三鷹が公式に発表している、令和三年度の出題の基本方針を見てみましょう。

 

(1) 文章を深く読み取り、社会的リーダーとして必要な、他者の心情を理解する力、自分の考えを効果的に伝える力をみる。

(2) 課題や資料の内容を正しく分析する力、論理的な思考力・判断力及び課題を解決する力をみる。

 

都立三鷹では、⑴の能力を主に独自問題、⑵の能力を主に共通問題で見ていると考えられます。それも踏まえつつ、都立三鷹の検査の特徴を具体的に見ていきましょう。

<適性検査Ⅰ>(独自問題)

適性検査Ⅰでは、2つの文章を読解し、記述形式で答える問題が出題されます。2つの文章は独立していることが多く、2つの文章の内容を関連づけた出題は少ないです(ただし、2021年度は詩と説明文の内容を関連させた出題もあったので、今後注意が必要です)。

基本的には、漢字や語句の意味を直接的に問う知識問題は出題されず、すべて本文に関する論述問題になっています。

 

・文章の種類

出題の基本方針⑴の「他者の心情を理解する力」を意識しているのか、説明文だけでなく、随筆や物語文の出題が多いことが特徴です。特に随筆は、私立の中学受験対策では頻繁には登場しないものなので、意識的に随筆に触れる機会を増やすことが重要です。

2021年度は珍しく詩が出題されましたが、この傾向が今後も続いていくのか、2021年度特有の事態だったのか、今後見ていく必要があります。

 

・設問の特徴と対策

前半は、文章の内容に関する説明問題が出題されます。字数は40~70字程度です。これは、指示語の説明や登場人物の気持ちの説明などの典型的な国語の問題とほとんど変わらないので、私立の中学受験国語と同様の記述対策が必要だと考えられます。

後半は、文章の内容を踏まえて、自分の意見や考えを書く問題が出されます。字数は例年160字~200字程度です(ただし、2021年度は350字の論述が求められたので、注意が必要です)。文章を論理的に書く訓練はもちろん、解答で使えるエピソードの引き出しを増やし、すぐに使えるようにする訓練も必要です。

 

<適性検査Ⅱ>

大問1(算数分野)(独自問題)

都立三鷹の算数の大きな特徴は、解答を出す過程を、言葉や計算式を用いて説明させる問題が多く出されるということです。これは、基本方針⑴の「自分の考えを効果的に伝える力」に大きく関係しているといえます。この問題の対策としては、受検生が保護者や先生に解き方を説明し、保護者や先生がそれに対してフィードバックを行うということが有効です。

また、都立三鷹の算数では、膨大な文章を読み取り、問題を解くカギを見つける必要があります。活字に慣れるというのは付け焼刃ではできるようにならないので、早いうちからの訓練が必要です。

単元としては、平面図形と立体図形が頻出ですが、場合の数や整数などの出題歴もあります。

 

大問2・3(社会分野・理科分野)(共通問題)

大問2、3ともに、いろんな種類の資料(表・グラフ・地図・写真など)が提示され、それらを用いて考察する問題が多く出題されます。

社会分野では、グラフや表のどのような部分からどのようなことが分かるのか、もれなく記述する訓練が必要です。また、日ごろから様々な社会問題に触れておき、予備知識をためておくことも有効です。

理科分野では、データから規則性や特徴を見つけ出し、考察する問題が多く出題されます。また、理科分野でも、算数と同様、膨大な量の文章が与えられます。実験の説明や条件の変更を丁寧に読んでいく必要があるのはもちろん、問題で度々登場する会話文の中にデータを読み解くヒントが隠されていることも多く、注意が必要です。

例年、社会分野と理科分野で合わせて1~3問ほど計算問題が出題されます。適性検査の計算問題は、総じて難易度が低く、これを落とすと合格がかなり遠のくおそれがあります。基本的な四則演算・割合の計算・濃度の計算が頻出なので、それらを中心に、計算を早く正確にできるようにしておきましょう。

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